※2020年6月追記
2020-21年会計年度より、新しい個人所得税制度が導入されましたので新しい記事を書きました。現地採用社員の視点で、旧制度と新制度の比較をしていますので是非ご一読ください。
※以下オリジナル記事です。
インドで就職しようと考えてる人にとって、給与は特に手取りがどれくらいになるかは気になるところですよね。
特に、よく『所得税は約30%』と書かれているブログなどを見かけますが、実際給与の総額の30%も引かれるものなのでしょうか?
では、実際の税制を確認しながら見てみましょう。
まず、インドでの就職を考えている方に一度読んでもらいたいのが、JETROのホームページにある税制の解説の個人所得税の箇所です。余裕があれば、実際に就職活動をする前にインドのページを一通り読むと、地域ごとや産業ごとのトレンド等が分かって良いと思います。
さて、本題ですが、JETROのページにもある通り、インドの個人所得税は超過累進課税方式で、税率の範囲は以下の通りです。
個人所得税の税率は、超過累進課税方式により次のとおり。
所得額(ルピー)と税率(2019年度より適用される新税率)
- 250,000以下:0%
- 250,001~500,000:25万ルピーを超える所得の5%
- 500,001~1,000,000:50万ルピーを超える所得の20%
- 1,000,001以上:100万ルピーを超える所得の30%
さらに、高額所得者に対しては、次の追加の課徴金が所得税全額に課せられる。
- 5,000,001~1,000万ルピー:追加課徴金10%
- 1,000万ルピー超:追加課徴金15%
最終的に、所得税+課徴金に、健康教育目的税(4%)が付加される。
※超過累進課税方式がよく分からないという方はここの解説を読んでみてください。
つまり、30%の所得税が課されるのは100万INRを超える収入なので、一般的な現地採用の給与(約165万INR~)を考えたとき、30%が課されるのは半分にも満たないことが多いと思います。
さらに、EPF*1 への積立金や賃貸住宅への支払いの一部などは、所得から控除することが出来ますので、実際の課税対象所得はさらに下がると思います。(私の場合、税率0%の25万INR以外に約30万INRが非課税になっています)
というわけで、結論としては、一般的に現地採用の人間が払う個人所得税は全体の割合として30%には満たないということになります。
私の場合、2018-19会計年度でGross Incomeから引かれた所得税+健康教育目的税の割合は給与全体の約15%でした。
但し、注意しなければならないのは、現地採用と一言でいっても、就業する企業によって給与体系が異なるため、補助関連で課税対象額が上がる可能性や、控除を受けられない可能性があります。
例)規模が小さい法人の場合、EPFへの加入義務がないので、積立しなくてよい代わりに所得控除を受けられない。(積立金は現在、インド企業での雇用が終了した時点で受給資格を満たすため、退職時に払い戻しの手続きが可能です。これについては、また別の機会に説明しようと思います)
逆に、駐在員並みの待遇で所得税を会社が負担する契約になる場合もあるようですので、その場合には特に気にする必要もないですね。
私の場合は、日系ですがインド人と全く同じ給与体系で、「所得控除受けたかったら、必要書類は自分で揃えてね」、「ITR(確定申告)は自分でやってね」というスタイルなので、最初は全くわけが分からず苦労したのですが、分かってくると、『なんだ、インドの所得税そんなに高くないじゃん!』となったので、今回こちらでシェアしました。
今後も、EPFのことなど、経験を基に情報をシェアしていきたいと思います。
※この記事の税制は2019年8月時点の制度です。変更している可能性もありますのでご了承ください。また、私個人のケースを基にした内容になりますので、このケースにあたらない場合もありますのでご了承ください。
*1:従業員積立基金