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【インド現地採用】Income Tax Declaration

前回は、インド会計年度が始まる際に、従業員に申告が求められる『FBP Declaration』についての記事を書きました。

今日は、同じく会計年度が始まる際に申告が求められる『Income Tax Declaration』について現地採用で働く人目線で書こうと思います。

Income Tax Declarationとは何か?

Income Tax Declarationは、通常会計年度の初めに従業員が雇用主に対して行うもので、年度中に行う予定の投資、保険料の支払いなど、所得控除を受けることができる項目への支出を申告します。

雇用主は、この申告を基に従業員の課税所得、納税額を計算し、月額ベースで源泉徴収する税額を計算します。

最終的には、年度末に対象となる支出への証明書類を提出する必要があり、ここで最終的に課税額が決定しますので、年度初めに申告が漏れても、雇用主が指定する時期までに必要書類を提出すれば所得控除が受けられます。逆に、年度初めに申告していた内容よりも所得控除が可能な金額が少なければ、3月末までに追加の所得税が源泉徴収されることになります。

という訳で、年度初めに申告が漏れても年度末までに変更することはできますので、何が所得控除できるのかを知ってもらうことに重点をおいて、現地採用で働く人に重要な部分を中心に説明してみようと思います。

何が申告できて、何を申告すればよいか?

HRA

まず、HRA(家賃補助)がある場合には、前回の記事で扱ったFBPとして支給を受けて、さらに所得控除も申告しましょう。

cleartax.in

HRAは、全額が所得控除される訳ではなく、以下の3つの条件のうち最も金額が低い金額が控除されます。

実際に受け取るHRAの金額

基本給の50% (Metroの場合)、または40%(その他の都市)

実際に支払う家賃-基本給の10%

※Metroは、Delhi, Mumbai, Chennai, Kolkata

私の勤務先では、年度初めの申告でHRAとして受け取る金額を申告しておくと、上記の条件に当てはまる金額を控除してくれます。

私の場合は一番下の『実際に支払う家賃-基本給の10%』が適用されており、FY2018-19の控除額は「約180,000 INR」でした。

正直、この金額が多いのか少ないのか不明ですが、家賃は契約時から2年連続据え置きで、給与は前年より上がっているため前年度より金額は減りました。

Income-tax Act, 1961, Chapter VI-A(Section 80C, 80CCC, 80CCD)に基づく控除

現地採用で働く人が一番活用する所得控除が、

Income-tax Act, Chapter VI-A(Section 80C, 80CCC, 80CCD)

に基づく控除、特にChapter VI-A, Section 80Cの中のEPFの積立金ではないかと思うので、EPFを中心にこのSection 80Cを説明します。

Section 80Cを説明すると言いながら80CCCと80CCDを記載しているのは、控除を受けられる金額の上限がSection 80C, 80CCC, 80CCD合わせて15万INRまでであり、申告を行うポータルなどでも併記されていることが多いためそのようにしています。

このSection 80Cで認められる控除は、主に投資や貯蓄を目的としたものへの支出になります。

EPF

現地採用で働く人のほとんどは、EPF(従業員積立基金)に強制加入になると思うのですが、このEPFの積立はSection 80Cの下で所得控除することが出来ます。ただし前述のように、上限は15万INRです。

『現地採用で働く人のほとんど』としたのは、勤務先が小規模でEPFへ未加入の場合もあるからです。その他、企業ごとにイレギュラーがあるケースも想定しています。

そのEPFの積立金ですが、2019-20会計年度より、基本給+各種手当合計の12%となっており、インドの就労ビザ基準を超える給与を得て12ヵ月働けば、15万INRを超える金額になるはずです。

ですので、EPFの積立金だけで15万INRの上限まで所得控除を受けることが出来ると思います。

EPFの積立は、雇用主が給与から控除して納めますので、申告しなくても所得控除してくれることが多いと思いますが、年度初めのIncome Tax Declarationの際には、EPFの積立分が所得控除の対象になっているか確認するといいと思います。

但し、このEPFの積立分で所得控除を受けることには1点注意があります。

外国人労働者は、インドにおける雇用が終了した時点でEPFの払い戻しを受けることが出来ますが、就労期間が5年未満の場合、過去に所得控除を受けた分の金額は、払い戻しの際に課税対象となりますのでご注意ください。

EPF以外

cleartax.in

上記のリンクにあるように、EPF以外にもSection 80Cで所得控除できる選択肢は数多くあります。

ですが、現地採用で働く人が現実的に手を出せるのは以下の2つではないかなと思います。

  • 5年満期の定期預金
  • Equity Linked Savings Schemes (ELSS)という3年以上のミューチュアルファンド

もし、EPFへの加入が無く、インドでの貯蓄や投資に興味がある方は検討してもいいのではないでしょうか。

以前に銀行の営業マンにミューチュアルファンドの勧誘を聞いた時の話ですと、予定より早く帰国することなった場合でも、ペナルティを払えば払い戻しを受けられるようですので、興味があるけれど期間がネックだという方は、金融機関などに相談してみるとよいと思います。

もし、これらの定期預金やミューチュアルファンドを活用することに決めたら、Income Tax Declarationで申告しておくと、調整された金額で所得税が引かれます。

ただ、申告しておいたのにも関わらず、定期預金やミューチュアルファンドに支出しなかった場合や、証明する書類を提出しなかった場合、年度末にまとめて所得税が引かれますのでご注意ください。

検討中の場合には、申告しない方がいいのかもしれません。

まとめ

今回は、Income Tax Declarationについてまとめてみました。

冒頭にも書きましたが、 Income Tax Declarationについては時期と内容を知っておくぐらいで良いと思っていて、実際に何が所得控除できるのかを知ってもらうことに重点をおいて書きました。

もしこれを読んで、今会計年度の所得控除について疑問が出てきたのであれば、勤務先に確認してみてください。まだ間に合う可能性大です。

 

※この記事は2020年2月時点での内容です。変更している可能性もありますのでご了承ください。また、私個人の経験を基にした内容になりますので、投資などはご自身の判断でしていただけますようお願いします。

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