以前の記事で、インドにも日本の年末調整のようなものがあり、年度末までに必要書類を揃えると、勤務先で家賃の一部などを所得控除してもらうことが可能だと書きました。
これを読んで、税金関連は会計士にお願いするから関係ないなと思われた方もいらっしゃったかと思うのですが、会計年度中に所得控除を受けたい場合には、勤務先で申告して調整してもらう必要があります。
最終的には年度末に調整されますが、インドではその申告の一部を事前に会計年度が始まる4月に行います。また4月だけではなく、途中入社の場合には、入社したらまず初めに申告することが求められます。
※ただし、日系企業では、日本人現地採用の給与に関して現地従業員と異なる給与体系にしていて、FBPの申告をさせない(しなくてよい)会社もあるかもしれませんので各自ご確認ください。
それに関連するものが、 FBP (Flexible Benefit Plan) Declarationと Income Tax Declaration です。
今日は、その2つのうち FBP (Flexible Benefit Plan) Declarationについて解説したいと思います。
FBP Declarationとは何か?
FBP (Flexible Benefit Plan) Declarationとは、 主に所得税の課税対象から所得を控除するために、福利厚生の手当の一部を従業員自ら自由に選択して企業側にそれを申告することです。
上にも書いたように、毎年、会計年度が始まる4月もしくは入社時に行います。
FBPとは何か?
それでは、そのFBPとはどのようなものなのでしょうか?
こちらのサイトを参考にしながら見ていきましょう。
FBPを構成するコンポーネント
FBPとして支給を受けることができる手当のことを FBP Componentsといい、企業が法律で所得控除が認められる手当の中から指定します。
このFBP Componentsには、『Monthly』と『Claim/Annual』の2種類があります。
Monthly
Monthlyには、HRA(家賃補助)、Conveyance(乗り物)、Vehicle Lease(車両リース)などが含まれます。
社員がこれらの福利厚生を受けると選択した場合、毎月給与の一部として支払われます。但し、所得控除を受ける場合には所定の書類(領収書など)の提出が必要です。
Claim/Annual
一方、Claim/Annualには、Fuel(燃料), Telephone(通信), Books/Periodicals(書籍/定期刊行物) の費用などがあります。
これらのComponentsについては、従業員が福利厚生を受けると年度の初めに申告していても、Claim(請求)ベースになるため自動的には支払われません。
例えば、年間12,000INR(毎月1,000 INR)の通信費をFBPとして受け取ること選択できるとして、この金額は領収書を提出して初めて支給され、所得控除を受けることができます。
私の勤務先では、毎月領収書を提出するということではなく、年度内の締め切りまでに利用分の請求書を提出すればよいため、年度末にまとめて提出している社員が多いと思います。
もし、領収書を提出しなかった場合は、年度末にFBP Unclaimedとして支給されますが、所得税の課税対象となります。
私の失敗:私は、1年目にここらへんがよく分かっておらず、入社時の申告で通信費をFBPとして選択していましたが、通信費の領収書を出さなかったため、Unclaimedとして年度末にまとめて支給されて課税されてしまいました。
資格と上限
会社が定める各 FBP Componentsには上限がある場合とない場合があり、これらの上限をEntitlementsまたは Limitsと呼び、Entitlementsは、階級や勤務地をベースに決定されます。
この上限は、4月の時点で会社が設定しますので、従業員はその範囲内で自ら選択します。
私の勤務先では、全ての項目に上限があり、基本給の数%と規定されている場合と階級によって異なる金額が設定されている場合があります。
FBPの合計金額とSpecial Allowanceの支給
各 FBP Componentsの上限を全て合計したもを、Flexi Total、Flexi Basket、FBP TotalまたはTotal FBPと呼びます。
ここで重要なのは名称ではなく、この合計金額は、FBPとして選択しなかった場合でも全額支給される金額だということです。
全ての FBP Componentsの年間の合計=Flexi Totalが100万INRであり、自分がFBPとして受け取る金額が35万INRである場合、残りの65万INRは12ヵ月で均等に割られ、毎月Special Allowance/Residual componentの項目の下で支給されます。但し、これは所得税の課税対象となります。
例えば、私の勤務先のFBPには「Car Lease」や「Child Education」などの項目がありますが、私は車をリースしていませんし、子供もいません。この場合、その2つの項目の下でFBPを選択することが出来ませんが、選択出来ないor選択しなかった金額の合計を12ヵ月で割った金額を、上に書いたとおりSpecial Allowanceとして受け取っています。
FBP Declarationの方法
インドの多くの企業では、従業員の管理に『GreytHR』といったアドミンポータルを導入しており、そのポータル上で申告することになると思います。
『GreytHR』のサイトに実際のFBP Declarationの画面がありましたので、イメージをつかんでもらう参考資料として貼っておきます。
まとめ
今日の話題はFBP Declarationでした。私のインド就業時を振り返ると、仕事を開始して数日のうちに、このFBP Declarationをするように担当部署から言われた気がします。でも、全くもって何のことか分からなかったですよね。。。そんな時は、聞くしかないのですが、聞いても良くわからないこともあり。。。そんな、最初の困難を少しでも取り除ければと思い書きました。次回は、 Income Tax Declarationについて書きたいと思います。